WAGR症候群の子のための医療ケア:親のためのチェックリスト

・このページの内容は、International WAGR Syndrome Association(IWSA)の許可を得て、IWSAweb site上の記事を翻訳・転載したものです→こちら
・誤訳・疑問等は、訳者にお問い合わせください:m-cho◎gk9.so-net.ne.jp(送信の際◎を@に変更)
Translated by Madoka Hasegawa, July 2015


WAGR
症候群の子をもつ親のためのチェックリスト

WAGR症候群の子どもは、複数の疾患を合併し、様々な医療ケアを受ける必要があることがよくあります。あなたの子どもの各年代で必要とされる医療ケアについて、理解し、ついていくのは大変なことでしょう。

親向けのチェックリスト」は、それを少しだけ容易にし、生まれてから生涯を通して、親が子どもに可能な限り最善の医療を受けさせようとすることの手助けをするために、作成されました。

親向けのチェックリスト」には、以下の情報が記載されています:
・診断
・関連疾患
・治療
・生涯にわたるフォローアップケア
・情報源
最終更新日:2007

WAGR症候群の子が適切な医療ケアを受けられるように
WAGR
症候群の子をもつ親のためのチェックリスト
注意:WAGR症候群を持っている子すべてが同じではありません。以下で推奨している事柄が誰にでもあてはまるわけではありません。主治医とよく相談し、どういった検査やどの専門科への受診が適切かを判断してください。

目次
新生児期(誕生~1か月)の子どものためのチェックリスト
乳児期(1か月~1) の子どものためのチェックリスト
小児前期(15) の子どものためのチェックリスト
小児後期(513) の子どものためのチェックリスト
青年~成人(1321) の子どものためのチェックリスト

生児期(誕生~1か月)

小児科医院にて:
・わが子をWAGR症候群と診断することについて話し合い、遺伝子検査の結果を説明するよう頼みましょう。できればあなたの配偶者や信用のおける友人、家族などに同席してもらうとよいです。
・身体所見をあなたと一緒によく診るよう頼みましょう。可能なら、その所見についてあなたや配偶者と一緒に、医師と話し合うようにしましょう。
・全ての検査結果のコピーと、他の専門医を紹介受診した場合はその報告書のコピーをもらいましょう。子どもの医療記録用ファイルに、それらを保存しておいてください。やがて、このファイルがとても役に立つとわかるでしょう。
・たくさん質問しましょう。受診する前に質問事項を書き留めておいて、持っていくとよいです。

医師に尋ねるべきこと:
・「メディカルホーム」(訳者注:患者中心の医療のこと)
その小児科医は、あなたが、たくさんの専門医との関わりを管理・調整しなければならないのを手助けしてくれますか?

・ウィルムス腫瘍
 ・初めての超音波検査はいつ実施する予定ですか?
 ・3か月ごとの超音波検査は、いつどこで実施しますか?
 ・どこでその結果を聞けますか?
 次の超音波検査までの間にする、子どもの腹部触診の仕方を教えてもらうよう頼みましょう。

紹介されることのある専門医・診療科:新生児
・遺伝科:遺伝科の医師が診断を確かめ、必要に応じて追加の検査をし、成長と共に経過を診ていくことは、大切なことです。
・小児眼科:無虹彩の子どもは、可能ならば、小児を専門とする眼科医に診てもらうべきです。
・泌尿器科:尿道下裂や停留精巣のような外性器異常がある場合。

児期(1ヶ月~1歳)

小児科医院にて:
・毎回の受診で、腹部全体の診察を含めた身体の診察をします。
・検体検査
  ・必要に応じて、血算。
  ・尿検査:尿潜血を調べます

医師に尋ねるべきこと:
・最後の受診の後にわかった遺伝子検査の結果全て。
・他の専門医に相談した場合、その結果について尋ねましょう。
・他の専門医からもらった報告書のコピーをもらいましょう。
・全ての検査結果のコピーをもらいましょう。
  ・子どもの医療記録用ファイルに、それらを保存しておいてください。
・中耳炎や肺炎のような感染症への罹患歴。
  ・もし頻回にかかっているようであれば、治療方針を変えるべきですか?
・ウィルムス腫瘍を定期観察する計画。
  ・超音波検査は3か月ごとに予定されていますか?
・子どもの腹部触診はどうやってやればよいですか?
  ・自宅で腹部触診をするやり方を医師に教えてもらいましょう。
・子どもの成長と発達。WAGR症候群の子どもは、発達遅延のリスクがあるので、乳児期の早い時期に、早期療育サービスを紹介してもらうべきです。

紹介されることのある専門医・診療科:乳児
・遺伝科:診断を確かめ、必要に応じて追加の検査をするため。
・泌尿器科:泌尿生殖器の専門家。
・血液腫瘍科:がんの専門家です。ウィルムス腫瘍を発症したら、治療のために受診します。
・早期療育サービス:知能と身体の発達を最大にするための訓練をします。
・小児眼科:小児専門の眼科医。

児前期(1歳~5歳)

小児科医院にて:
・毎回の受診で、腹部の診察を含めた身体の診察をします。
・検体検査
  ・血算
  ・脂質(コレステロール値)
  ・尿検査:尿潜血and/or尿タンパクを調べる。

医師に尋ねるべきこと:
・「メディカルホーム」
  ・小児科医は、あなたが全ての専門医との連携を管理・調整しなければならないのを手助けしてくれていますか?
  ・紹介受診した専門医は、小児科医に、紹介状への返信を送付していますか?
・他の専門医に相談した場合、その受診結果のコピーをもらいましょう。
・全ての検査結果のコピーをもらいましょう。
   ・子どもの医療記録用ファイルに、それらを保存しておきましょう。
・子どもの行動
  ・自閉症や他の行動障害の徴候について話し合いましょう
  ・行動障害や精神疾患の徴候があるなら、援助してくれる専門家への紹介を頼みましょう
・活動度と睡眠パターン
  ・平均的な子どもと比較してどうですか?
  ・大きな差異がある場合、どうやって原因を評価し治療を始めますか?
・感染症
  ・ふつうの子どもと比べて感染症にかかりやすいですか?
  ・もしそうなら、迅速な診断や十分な治療がなされるように、治療方針を変えるべきですか?
・ウィルムス腫瘍:ウィルムス腫瘍の好発年齢は1-3
  ・超音波検査の予定は3か月毎ですか?
   次の超音波検査までの間、お腹の診察をしますか?
・運動発達
  ・適切に歩いていますか? 動きは正常ですか?
・体重
  ・過体重であるならば、自分たちでできることは何ですか?どうすればいいですか?
・社会的・知的機能
  ・他に必要な支援サービスはありますか?

紹介されることのある専門医・診療科:小児前期
・血液腫瘍科:必要に応じて(がんの専門家。ウィルムス腫瘍を発症したら)
・小児神経精神科:(行動障害の診断と管理の専門家)
・小児眼科:小児専門の眼科医。
・腎臓科:必要に応じて(腎臓専門家)
・耳鼻咽喉科:必要に応じて(耳、鼻、喉の専門家)
・整形外科:必要に応じて(筋肉と骨の専門家)
・栄養相談:必要に応じて(食事、栄養、体重管理の支援のために)
・小児歯科:必要に応じて
・小児消化器科:必要に応じて(膵炎のような疾患の専門家)

ウィルムス腫瘍経験者の推奨されるフォローアップ
以下の検査は、National Wilms tumor study Group(NWITS, USA)による推奨です。
・検体検査:血算、白血球/分画、肝機能(AST, ALT, ALP, ビリルビン)、腎機能(BUN, 血漿クレアチニン、GFR)、尿検査、24時間蓄尿
・血圧
・イフォスファミド(シスプラチン)の投与を受けた場合:血液と尿のpH、血漿と尿中電解質値(K, P, 重炭酸、尿酸)
・アドリアマイシン(ドキソルビシン)の投与を受けた場合:心臓エコーとMUGAスキャン。必要に応じて心臓専門家に紹介してもらいます。
・放射線療法、またはCCSKに対する治療を受けた場合:子供の成長期が終わるまで毎年、骨格の調査と骨シンチグラフィーを受け、その後は無期限に5年ごとにうけます。

児後期(5歳~13歳)
小児科医院にて:
・毎回の受診で、腹部の診察を含めた身体の診察をします
・検体検査
  ・血算
  ・脂質(コレステロール値)
  ・尿検査:尿潜血and/or尿タンパクを調べる
・血圧測定

医師に尋ねるべきこと:
・「メディカルホーム」
  ・小児科医は、あなたが全ての専門医との連携を管理・調整しなければならないのを手助けしてくれていますか?
  ・紹介受診した専門医は、小児科医に、紹介状への返信を送付していますか?
・他の専門医に相談した場合、その受診結果のコピーをもらいましょう。
・全ての検査結果のコピーをもらいましょう。
  ・子どもの医療記録用ファイルに、それらを保存しておきましょう。
WAGRの女児への検査
  ・あなたの娘さんに索状卵巣があるならば、少なくとも年に1度、骨盤内超音波検査やMRIで定期観察を受けるべきです。卵巣の状態がよくわからないならば、定期的な超音波検査やMRIでの観察がなされるべきです。
・腎不全
  ・WAGR症候群の子どもは、腎不全になる確率がとても高いです。ほとんどの場合10代で発症します。たとえウィルムス腫瘍にならなかったとしても同様です。
  ・腎機能を評価するための適切な検査は:
         ・血圧
        
・尿中タンパクの測定
        
・腎機能を測定するための血液検査
      ・高血圧や尿タンパクが微量以上検出されるようになったら、腎臓科医に紹介してもらうべきです。
・子どもの行動
  ・自閉症や他の行動障害の徴候について話し合いましょう
  ・行動障害の徴候があるなら、援助してくれる専門家への紹介を頼みましょう
・子どもの活動度と睡眠パターン
  ・WAGR症候群の子どもは、閉塞性睡眠時無呼吸のリスクが高いです。
  ・子どもの活動度や睡眠パターンは平均的な子どもと比較してどうですか?
  ・大きな差異がある場合、どうやって原因を評価し治療を始めますか?
・ウィルムス腫瘍
  ・ウィルムス腫瘍は、WAGR症候群の人では25歳まで診断された報告があります。
  ・腹部超音波検査を、多くは612か月の間隔で、無期限に続ける医師もいます。血圧測定と尿潜血検査もまた無期限に続けるべきです。
・体重
  ・過体重であるならば、自分たちにできることは何ですか?どうすればいいですか?
・学校とクラスの選定
  ・学校やクラスは適切ですか?
  ・他に必要な支援はありませんか?

紹介されることのある専門医・診療科:小児後期
・血液腫瘍科:必要に応じて(がんの専門家)
・小児神経精神科:行動障害の診断と管理のために。
・小児眼科:小児専門の眼科医。
・腎臓科:必要に応じて(腎臓専門家)
・整形外科:必要に応じて(筋肉、骨、運動障害の専門家)
・婦人科(女性のケアの専門家)
・栄養相談:必要に応じて(栄養と体重管理)
・小児歯科:必要に応じて
・小児消化器科:必要に応じて(膵炎のような疾患の専門家)

ィルムス腫瘍経験者の推奨されるフォローアップ
以下の検査は、National Wilms tumor study Group(NWITS, USA)による推奨です。
・検体検査:血算、白血球/分画、肝機能(AST, ALT, ALP, ビリルビン)、腎機能(BUN, 血漿クレアチニン、GFR)、尿検査、24時間蓄尿
・血圧
・イフォスファミド(シスプラチン)の投与を受けた場合:血液と尿のpH、血漿と尿中電解質値(K, P, 重炭酸、尿酸)
・アドリアマイシン(ドキソルビシン)の投与を受けた場合:心臓エコーとMUGAスキャン。必要に応じて心臓専門家に紹介してもらいます。
・放射線療法、またはCCSKに対する治療を受けた場合:子供の成長期が終わるまで毎年、骨格の調査と骨シンチグラフィーを受け、その後は無期限に5年ごとにうけます。

 年~成人(1321歳)

小児科医院にて:
・毎回の受診で、腹部の診察を含めた身体の診察をします
・検体検査
  ・血算
  ・脂質(コレステロール値)
  ・尿検査:尿潜血and/or尿タンパクを調べる
・血圧測定

医師に尋ねるべきこと:
・「メディカルホーム」
  ・小児科医は、あなたが全ての専門医との連携を管理・調整するのを手助けしてくれていますか?
  ・紹介受診した専門医は、小児科医に、紹介状への返信を送付していますか?
・他の専門医に相談した場合、その受診結果のコピーをもらいましょう。
・全ての検査結果のコピーをもらいましょう。
  ・子どもの医療記録用ファイルに、それらを保存しておきましょう。
WAGRの女児への検査
  ・あなたの娘さんに索状卵巣があるならば、少なくとも年に1度、骨盤内超音波検査やMRIで定期観察を受けるべきです。卵巣の状態がよくわからないならば、定期的な超音波検査やMRIでの観察がなされるべきです。
・腎不全
  ・WAGR症候群の子どもは、腎不全になる確率がとても高いです。ほとんどの場合10代で発症します。たとえウィルムス腫瘍にならなかったとしても同様です。
  ・腎機能を評価するための適切な検査は:
          ・血圧
         
・尿中タンパクの測定
         
・腎機能を測定するための血液検査
      ・高血圧や尿タンパクが微量以上検出されるようになったら、腎臓科医に紹介してもらうべきです。
・子どもの行動
  ・自閉症や他の行動障害の徴候について話し合いましょう
  ・行動障害の徴候があるなら、援助してくれる専門家への紹介を頼みましょう
・子どもの活動度と睡眠パターン
  ・WAGR症候群の子どもは、閉塞性睡眠時無呼吸のリスクが高いです。
  ・子どもの活動度や睡眠パターンは平均的な子どもと比較してどうですか?
  ・大きな差異がある場合、どうやって原因を評価し治療を始めますか?
・ウィルムス腫瘍
  ・ウィルムス腫瘍は、WAGR症候群の人では25歳まで診断された報告があります。
  ・腹部超音波検査を、多くは612か月の間隔で、無期限に続ける医師もいます。血圧測定と尿潜血検査もまた無期限に続けるべきです。
・体重
  ・過体重であるならば、自分たちにできることは何ですか?どうすればいいですか?
・学校とクラスの選定
  ・学校やクラスは適切ですか?
  ・他に必要な支援はありませんか?
・成人期の移行問題
  ・職業訓練、性に関する事柄、後見人、グループホーム/自立生活の選択、成人医療への移行といった問題について話し合いを始めたいと考えるでしょう。

紹介されることのある専門医・診療科:小児後期
・血液腫瘍科:必要に応じて(がんの専門家)
・小児神経精神科:行動障害の診断と管理のために。
・小児眼科:小児専門の眼科医。
・腎臓科:必要に応じて(腎臓専門家)
・整形外科:必要に応じて(筋肉、骨、運動障害の専門家)
・婦人科(女性のケアの専門家)
・栄養相談:必要に応じて(栄養と体重管理)
・小児歯科:必要に応じて
・小児消化器科:必要に応じて(膵炎のような疾患の専門家)

あなたの子どもが、ウィルムス腫瘍経験者であるならば、上述の「ウィルムス腫瘍経験者の推奨されるフォローアップ」を参考にしてください。

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