WAGR症候群の子ども達を教える先生方へのお願い

・このページの内容は、IWSAの教育コンサルタントが「WAGR症候群の子ども達を教える先生方へのお願い」としてまとめた記事を、International WAGR Syndrome Association(IWSA)の許可を得て翻訳・掲載したものです。
・原文はこちらから見ることができます(リンク先はintroductionのページで、訳文の内容はページ内にあるリンク先にあります)http://wagr.org/?page_id=5684
・誤訳・疑問等は、訳者にご連絡ください:m-chogk9.so-net.ne.jp(送信の際◎を@に変更を)
Translated by Madoka Hasegawa, Feb, 2017

WAGR症候群の子ども達は、教育方法や教室内での過ごし方について特別な配慮が必要です。
IWSA
teacher Advice Formは、子供たちが持ちうる様々な側面についての詳しい情報を提供するためにまとめられました。これにより、子供たちが教室内でベストかつ最も適切な対応を受けられるよう、家族や先生方が配慮できるものと思います。

IWSA Teacher Advice Form
には、以下の内容が記載されています;
・視覚障害
・会話、言語&コミュニケーション
・学習障害
・中枢性聴覚処理障害
・運動機能障害
・感覚統合障害
・聴覚障害
・行動

最終更新日:2017.1月

(
訳者注:以下の内容が先生に提示するときに使う内容です)
プリントアウトするときにはこちらをご利用ください →こちら

................................................  WAGR/11p欠失症候群があります.

教室でこの子を支援する際に適当な方法をご提示します
(
この子に適切だと思う事柄にはチェックを入れてあります)

視覚障害&羞明(まぶしさ)
  

  •  新しい環境に生徒が慣れやすくなるように、初めに学校と教室のオリエンテーションツアーをしてください。 各部屋を回るときには言葉でそれぞれの部屋やエリアの説明をし、生徒が新しい場所を覚えたと確信できるまで、数日間それを続けてください。各エリアのポイントになるところに連れていきます。例えば、「ここに棚/ロッカーがあります。これがあなたのものです」「ここが手洗い場です。ここにペーパータオルと石鹸があります」のように教えてあげてください。
  •   説明を聞いたり、先生と対話をしながら行う活動の時には、生徒を前のほうの席にしてあげるとよいです。
  •   生徒が見やすいように、遠くの図は拡大し、コントラストをはっきりさせる必要があります。
  •   すべての学習教材について、はっきりした色合いのものを使うとよいです。
  •   文書の文字の大きさは、「    」のフォントサイズに拡大してください。
  •   ラミネートをするときは、マット素材(光沢のない素材)のものにしてください。
  •    生徒がはっきりものをみるためには、特に遠くを見るときにそうですが、まぶしさのない均一光がよいです。光をちょうどよい具合に調整するのにはブラインドが役に立ちます。つばのある帽子もまぶしさを軽減するのに役立ちます。 
  •    傾斜を使って生徒の目の高さで示してやると、学びやすいです。
  •    学習教材がある場所を知るのには、わかりやすく方向を伝える言葉を使って示してやるための支援者が必要でしょう。例えば、「地図は、ドアの左の壁にあります」のように教えます。さらに、生徒の眼から欲しいものに向かって、注意が向くように指し示してやると、見てほしい場所、もの、人を生徒が見つけやすいでしょう。
  •   生徒がものを視野にとらえる(固視する)まで、見てほしいものを視線上に保ってやると助けになります;生徒は、はっきりしたコントラストのものなら、ゆっくり動いているものでも目で追うことができます。注意をひくために音を出してやると、ものを見るきっかけの助けになるでしょう。
  •   遠くで何かが行われている場合には、何が起きているかを説明してやるための支援者が必要でしょう。これはできるだけ目立たないようにやってやるべきです。
  •    生徒は表情によるジェスチャーや身振り手振りは見えないかもしれません。褒めたり注意するときには、声にだして知らせてください。
  •    質問したり指示を出す前には、生徒の名前を呼んであげてください。
  •     まぶしさから眼を守るために、外ではいつも日よけ帽とサングラスを身に着けるべきです。
  •     視覚補助具を使うよう生徒を励ましてあげてください;例えば、拡大鏡、白杖、拡大文字キーボード、Braille note takerVideo magnifierVoice over app, 等があります。
  •     オリエンテーション、移動、日常生活技術、支援技術、作業療法などに関して、最良の支援を得られるように、地域の視覚支援学校や、地域の学校に所属する視覚障害者支援員、歩行訓練の専門家に相談をしてください。

    会話、言語&コミュニケーション
     
  •    短く、具体的な指示を出してください。要点のみを表す短い文句や文章を使ってください。
  •    お互いに非言語的なコミュニケーションをできるようにするためと、フラストレーションを減らすために、マカトンのようなサイン言語を使ってください。サインを使うときには、常に言葉も添えてください。
  •    シンボル(例えばマカトン、PECS、印刷媒体によるコミュニケーションなど)、視覚的なタイムテーブル、シンボルめくり(symbol strip)などを使ってください。視覚的に説明する手段としても使えるし、言葉が話せなくても選んだり要求を伝える手段としても使えます。
  •    生徒が好むコミュニケーション手段を使うことを許してあげてください。筆記、話し言葉、 支援技術など。
  •    話し言葉や文字、シンボル、絵、サイン、模型を使った「総合的なコミュニケーション」アプローチを使ってください。

学習障害
  

  •   反応するまで少なくとも10-20秒は、ものごとを処理するための時間をあげてください。生徒のペースに合わせてください。
  •    可能な限りいつでも視覚的に示したり、あなたが望むことを手本で示してあげてください。
  •    課題を細かく分けて、各々のステップを順に与えるようにしてください。一度に複数のことをできるとは思わないでください。課題をやるための時間を余分にあげてください。でも、やり遂げさせてください。別の課題に進む前に、一つの課題を終わらせることが大事です。
  •     生徒が次を予測できるように、わかりやすく決まった手順を作ってください。
  •     生徒が集中できるように短めの成し遂げられる分量の活動を与え、達成感を味わわせられるようにしてください。
  •     生徒には、新しい技術が身につくまで試し、練習し、何度も繰り返し習熟し、修正する機会が必要です。
  •    多くの感覚を用いて課題にアプローチする必要があります(例えば、短い文章、絵、3Dの立体モデル、現実の物、音、におい、肌触り、シンボル、サインなど)

    中枢性聴覚処理障害
      
  •     あなたが話をする時には、生徒の近くに立ち、生徒にあなたのことを見させるようにしてください。
  •     簡単で、1ステップずつの指示を出してください。
  •     少しゆっくりの速さで、少し大きめの声で話してください。
  •      あなたの指示を生徒に繰り返させ、(もし可能ならば)メモを取らせてください。
  •   もし家で完成させてくるべき課題があるならば、指示を書き留めさせておくべきです。
  •     生徒を教室の前の席に座らせ、集中しやすいよう気をそらすものから遠ざけるようにしてください。
  •      部屋の外の騒音を減らすために、ドアと窓を閉めて聞こえの状態をよくしてください。
  •      周囲の騒音や聞き取りづらさを減らすために、ワイヤレスFMシステムのような、音の増幅システムを使ってください。
  •      理解と記憶を強固にするために、画像やジェスチャーを使ってください。
  •      テストをうけさせるときは、静かな部屋を用意してください。
  •      周囲の騒音をなくすために、個別の課題に取り組むときにはノイズキャンセルヘッドフォーンを装着することを許可してください。

    運動機能障害
    (低筋緊張、失行、固有覚/前庭の機能障害)
      
    粗大運動能力
  •     体幹の筋力を強化するような活動、抵抗運動に取り組んでください。例としては、ブランコ、ジャンプ、山登り、トランポリン、水泳などがあります。
  •      様々な姿勢を交互にとりながら課題に取り組むことを許してあげてください(うつ伏せに寝る姿勢、立つ姿勢、膝立ち、黒板やホワイトボードのような垂直面上で課題をするなど)。
  •      でこぼこした地面を歩く、ものをまたぐ、斜面をのぼりおりする、細い光線や地面に書いた太いチョークの線に沿って歩く、片足立ち、物に手を伸ばす、走る、トンネルや輪の中を通り抜ける、エアートラックでの運動を楽しむ、飛び跳ねる、ボールを蹴るなどの動きを生徒に取り組ませてください。

    微細運動能力
  •    握りやすいようなグリップの筆記具を使用させてあげてください(例としては、太いもの、三角のもの、ペンなどです)
  •     様々な筆記具を使ってみさせてください(チョーク、絵筆、指や手に絵の具をつけて描くこと(フィンガーペイント)、クレヨン、鉛筆、フェルトペンなどがあります)
  •     いろんな画材を使い、様々な角度で書かせてみてください。黒板、ホワイトボード、イーゼル、書見台、ペーブメント(立体描画)など。
  •     書くことについては、タブレット・キーボードの使用を認めてあげてください。
  •     握りやすい補助はさみ(loop scissorなど)を使えるようにしてください。握るーはなすの動作をペグやトングを使ったゲームを使って練習してください。
  •  手の強さと巧緻性を養うために、様々な材料や器具を使ったゲームをしてください。例えば、ねんど、砂、水、料理、シェービングフォーム、梱包用のぷちぷち、ホイル、布、土、スポンジ、ビン、つぼ、ひしゃく・シャベル、カトラリー(スプーンやフォークなど)、ビーズ、ねじ巻きおもちゃ、ペグ差し、fuzzy feltなどがあります。

    感覚統合障害
        
    過敏:
  •     感覚を調整するための小部屋/感覚調整室(sensory room/テントに、自発的に入るという(「タイムアウト」ではなく)「タイムイン」を、生徒自身に選択させてください。
  •     騒がしい/にぎやかな状況では、ノイズキャンセリングヘッドフォーンを使うことを許してあげてください。
  •     座ったり、学習をする前後には、ジャンプ、走る、その他の動きをはさむようにしてあげてください。
  •     静かで構造化された学習環境を提供するために、教室の環境を整えるようにしてください。
  •     生徒の感覚を整えるのを手助けするために、ゆっくりした揺れ、深呼吸、ブランケットで強く巻き上げる、bean bagに座る、重みのあるブランケット(weighted blanket)やひざ掛けを使うことなどをさせてください。
  •     手が汚れる遊びをさせてください:泥まんじゅう、フィンガーペイント、ねんど遊び、プリン作りやプリンを使って遊ぶ、トライの上でシェービングクリームで遊ぶなど。

    鈍感:
  •      刺激するために光を使います(天井に光を照らし「星」を動かします)
  •      座位での活動やサークルタイムの前後に、ジャンプ、走るなどの動きをはさむようにしてください。
  •      騒がしくリズミックな音楽を演奏したり、押したり引いたりする活動をしてください。
  •      窓やファンからのそよ風を使ってください:軽い感触のfidget toyを与えてください。
  •      微細運動への興味を持たせるために:ぴかぴか光るペン、においのするマーカーやgel pencilを使ってください。
  •      アロマブレスレットや破片を使って、ミントやシナモンのような香りの刺激を使わせてください。

    感覚探究:
  •     wiggleシートクッション、ボールチェア、ビーンバッグチェア(bean bag chair)のような、生徒が立ったり動いたりしやすい形で座らせるようにしてください。
  •     課題が終わっていないからという理由で、生徒の自由時間を奪わないでください。行動がエスカレートするだけです。
  •     Thinking activityを伴った動きのある活動をさせてください。一定の間隔で、ちょっと歩く時間を与えてください。
  •      手、足、口の感覚をコントロールし続けられるように、いじって刺激を与えられるもの(fidget objects)を使わせてください。
  •     「力を使う作業」をさせてください(椅子を机の上にあげる、外で遊ぶためにボールの入った重い箱を運ばせる、図書の本を運ばせるなど)。
  •     可能なら狭い空間にいさせてください。
  •     事務室にメッセージを運ばせるような雑用/仕事を指示してください。
  •     滑り台、ブランコ、ジャンプ、山登り、トランポリン、水泳、止まる・動くゲームのような動きのある活動をさせてください。

    聴覚障害
      
    片側の聴覚障害
  •    生徒の左/右側に、座る/話しかける してください。そちらが生徒の良い耳のほうです。
  •     話している人の顔は、生徒に見えるようにしておくようにし(手や髪の毛、物で隠さないように)、可能なら近くでお願いします。話をするときは生徒を見てください。
  •     生徒の良い耳を先生に向けるようにし、聞こえが悪いほうの耳を教室から遠い側に向ける(壁側のように)ように座らせてください。
  •     話題や課題を変えるときには特にですが、生徒が指示を理解しているかを確認してください。
  •     周りの騒音を最小限にするよう努力してください。

    両側の聴覚障害
  •    1度に話すのは1人だけにしてください。
  •     話している人の顔は、生徒に見えるようにしておくようにしてください(手や髪の毛、物で隠さないように)。話をするときは生徒を見てください。
  •    見えづらい、または聞き取りにくい人が話をしたときは、その内容を繰り返してあげてください。
  •     可能ならば、手をあげたり名前を述べたりして話している人が誰かをわかるようにし、生徒が話している人をとらえるための十分な時間をあげてください。そして話し始める前に、生徒を見てやるようにしてください。
  •     生徒は小グループでの活動が適切でしょう。
  •     定期的に生徒が理解できているかを確認してください。
  •     何かをするのには十分な時間をあげてください。
  •     言葉による学びだけに頼らずにすむよう、様々な理解手段を提供してください(情報取得手段を聴覚に限らないように)。
  •      集中や聞き取りに力を使うので、同年代のこども達よりも疲れやすいでしょう。

    行動
      
  •    適切な行動を示すために、「ソーシャルストーリー」を作ってください。
  •     生徒が適切な行動を思い出せるような、よい行動のシンボルを使ってください(聞く、見る、座る、手をあげる、待つ)。
  •     我慢を手助けするために、カウントダウンタイマーやカウントダウン用のめくりボードを使ってください。
  •     良い行動は褒め、選ぶ機会をあげてください。
  •      問題な行動それぞれを分析してください。すべての行動は、何かを伝えようとしている表れです。フラストレーションを避け、生徒に何かを伝える用のシンボルを与え、感情や要求を表現するためのサインを教えてあげてください。
  •     かんしゃくへの対応:引き金を予期し取り除く、生徒を静かな場所に移動させる、安全を優先する、コミュニケーションは最小眼にする、生徒に時間と場所を与える。その後、安心を与える。
  •     次のような機会を設けることによりソーシャルスキルをつけるようにします:平行遊び、発話順序の交代(turn taking)、共有、二人組で作業をする、他者の気持ちを説明する。

    WAGR症候群についてのさらなる情報はこちらを参照にしてください:  www.wagr.org

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